地震前兆の目撃報告が集まる掲示板

こちらさんは
中央甲状腺、ですか…

最初に結論を述べておくと
「長野県中部地方に、今後１２時間前後に、震災クラスの地震が発生する可能性」
が通常時よりも高まったといえる材料はない

時々

> 牛伏寺の活断層が動きました。

・・・といった調子の報告を見かける（直近の例では>>67807）が、これを見かけた普通の人は「新たな活動が始まったのか？」と不安に感じるはずだろう

スレ主がこう表現したのは、おそらく、2016年10月16日5時36分に長野県中部の深さ約10kmで発生したマグニチュード2.3/最大震度1の地震のことだと考えられる

その震源（ピンク色の＋）の位置を、産業技術総合研究所が公開している牛伏寺断層の資料の上に重ねて表示しておいた

> 今、日本の活断層の中で、確率が最も高い活断層とも言われています。

今後30年以内の発生確率が約25%だから、指摘の通り、かなり高い方と認識しておく必要がある（天気予報の降水確率なら、降らない方に賭ける値だが、地震発生確率の25%とは、平穏な場所に比べて確率が1〜2ケタも高い、という意味）

> ５強を記録した時は、初めの地震から１２時間後に５強を起こしました。

2011年6月30日8時16分に発生したマグニチュード5.5のことだろう
確かに指摘の通り、同じ場所で半日前の6月29日19時32分、マグニチュード3.4/最大震度3が発生した

ところが、同じ場所をさらに遡ってみれば
5月16日 9時26分にマグニチュード2.4/最大震度1
3月17日 0時29分にマグニチュード2.5/最大震度1(16分後にも１回)
3月14日 8時47分マグニチュード3.3/最大震度3(5時間以内にも３回)
が発生した実績もある

さらに、当該地域の付近を震源とする、今朝と同規模以上地震は、貼り付けた図の右上の分布図の通り、直近10年間だけでも202回発生しており、そのほとんどが、12時間後の本震を告げる前震ではなく、独立した小規模の地震だった

また、貼り付けた図の右下のS字状の曲線は、N-T図といって、横軸が西暦下２桁、縦軸が202回の累積回数、を示しているが、ここからは「311の発生直後、一時的に活発な状態が続いたが、その後ほぼ通常通りに戻り、2015年あたりからは、やや活発化したようにも見えるかもしれない」といった傾向の変化が読み取れる

また、このデータも参考になるだろう
https://goo.gl/HR0b03

以上より、この地域は
「もともと小規模な地震が頻発する場所である」
という前提を理解した上で、この程度の小規模な地震が発生する度に、毎回

> 長野県中部地方、今後１２時間前後は特に要注意かもしれません。

と繰り返していればキリがない、と理解しておく必要がある

誤解があるといけないので、以下に補足する

上の結論
「長野県中部地方に、今後１２時間前後に、震災クラスの地震が発生する可能性」が通常時よりも高まったといえる材料はない
とは、
「長野県中部地方に、今後１２時間前後に、震災クラスの地震が発生する可能性」の否定
ではない

上に述べた通り、もともと長野県中部地方は、他の地域に比べて牛伏寺断層を震源とする災害クラスの地震発生のリスクが高いことも忘れてはならない

この掲示板の読者の多くは、自分や家族の身の安全を目的として、地震前兆や地震予知に関心を寄せる人たちだが、せっかくの貴重な情報をキャッチできても、その活かし方を誤ってそれを台無しにしかねない状況がしょっちゅう伺える

まずは、防災対策には、その負担の重さに応じた以下２種類があると理解しておく必要がある

1)普段から継続的／定期的に実施できる対策
・日常備蓄の開始
・非常用持ち出し袋の用意
・大切な物をまとめておく
・部屋の安全を確認する
・家具類の転倒防止をする
・家屋の耐震化チェック（必要に応じて耐震化工事）をする
・避難先を確認する
・家族会議を開く
・災害情報サービスに登録する
・地域の防火防災訓練に参加する

2)「ここぞ」の時だけ限定的にしか発動できない対策
・外出予定をキャンセルする
・地下街に入らない
・エレベーターを使わない
・遠方に避難する
・自宅倒壊に備えて車の中や庭にはったテントで寝る

常連であっても、これを区別せずごちゃ混ぜの人も少なくないようだが、地震前兆や地震予知情報の有効活用とは、
・普段から1)を常用の防災対策として忘れず継続する
・しかるべき予知情報を掴んだ時にだけ、1)の上の積み増しとして2)を発動する
というメリハリの効いた防災対策を計画し、2)に該当する情報を掴んだら、直ちに発動に移すことだ

この掲示板の目撃／報告情報を見て、「要注意」「警戒する」とつぶやくだけで何もしなかったり、普段怠ってきた1)を思い出すのも悪くないが、それは、地震前兆や地震予知情報を活用したことにはならない